- 会社名
- 株式会社アーバン
- 売上規模
- 27億円
- 資本金
- 1,500万円
- 本社所在地
- 東京都八王子市
- 従業員数
- 約700名
- 事業内容
- 観光地等を対象にしただんごの製造・販売、病院・介護施設等への給食の提供、ラーメン店・ビアガーデンの運営、冷凍食品の製造・販売
- M&A実施前の課題
- 後継者不足
- 会社名
- AJキャピタル株式会社
譲渡企業概要
譲受企業概要
株式会社ハレバレは、事業の発展と後継者の育成に悩まれていた株式会社アーバン様の事業譲渡を仲介・支援しました。M&A実施の背景や経緯、その後の経営状況などについて、元オーナーの佐藤久牧様にお話をうかがいました。
一度目の社長交代は苦い経験に
M&Aを検討した背景を教えてください。
今回のM&Aを実施する10年ほど前、創業者である私が60歳を超えたことから社長を交代したことがありました。私は会長職に就き対外活動に従事して、社内施策は新社長に任せることにしたのです。ところがその後、中国進出を機に経営が傾いてしまいました。
現地へ進出する大型商業施設のテナントとして出店したのですが、現地の地元企業優遇施策に巻き込まれて売上は急降下。さらには経営の文化やしきたりの違いで資本の引き上げも困難になりました。損益を最小限にするため、現地に投資した一切は諦める形に。会社は大損害を被りました。
経営を立て直すため、私は8年ぶりに経営者の座に戻りました。そしてだんごの事業をメインに据えることを決定します。だんご製造は利益率が大きく、また少ない人員で切り盛りできることからすぐにキャッシュを得ることができるためです。既存の設備を生かすだけで年間1億円の利益を生めると試算していました。
コロナ禍でさらなる打撃
インバウンド需要もありだんごの販売は順調に推移していました。ところが2020年にコロナ禍に見舞われます。全国の観光地から人がいなくなり、だんごの需要はなくなってしまいました。さらに株式会社アーバンが運営していた競馬場内のラーメン店やそば処は、無観客試合の開催により売上がゼロに。打ち手を見いだせないまま5年が過ぎてしまいました。
十分な立て直しを図れないまま、時間が過ぎ私は72歳になりました。会社の存続のためにはやはりもう一度事業承継を考えなくてはなりません。改めて社内を見渡してみましてが、前回の失敗を鑑みると会社を承継させられそうな人物はいませんでした。
株式会社アーバンにある4つの事業、だんご、給食、ラーメン、外食を分社化してそれぞれの事業部長に会社を経営させることも検討しましたが、事業部長は誰も首を縦にふらずこの計画は頓挫します。
そもそも株式会社アーバンはこれまで、私の人脈を駆使しながら成長させてきた会社でしたので、この人脈ごと引き継げる人物でなければ会社は存続できないのです。内にいないのであれば、外を頼るしかないとM&Aを検討し始めました。
なぜハレバレに依頼することにしたのですか?
たくさんのM&A仲介会社からダイレクトメールが届いていたので、数社のアドバイザーと面談を行いました。いずれの会社も悪い印象はなかったのですが、ピンとは来ませんでした。そこで30年近く経営をサポートしていただいている社労士の先生に相談したところ「信用できるアドバイザーがいる」と紹介されたのがハレバレの松本光生さんでした。
M&Aをどのように進めたのでしょうか?
当初は、4つの事業部のうち1つだけを譲渡しようと考えていました。ハレバレにマッチングを打診してもらったところ11社が興味を示してくれ、3社と面談を行いました。うち1社が実際に譲渡をすることになるAJキャピタルです。
当初は同業種への譲渡を想定していましたが、AJキャピタルのマネージャー陣が非常に好感を持てる方々であったことに加え、話しているうちにファンドに会社を預け、会社を育ててもらうという方法があることに気が付きました。もしかしたらその間にコロナ禍により間に合わなかった次期後継者の育成もできるかもしれません。AJキャピタルのマネージャー陣の人柄と、事業承継ができるかもしれないという可能性に惹かれ、私は全事業を譲渡することに決めました。
創業以来、30年にわたり経営してきたアーバンは、私にとっては我が子同然です。大切な会社をAJキャピタルになら託せると思い、迷うことなく決断しました。
事業譲渡後の経営状況を教えてください。
2024年12月に調印が済み、2月の決算を経て、改めて私は代表取締役社長の辞令を仰せつかりました。3年間の契約で、AJキャピタルの傘下に入った株式会社アーバンをさらに発展させるための人事です。
3年という限られた時間のなかで何を成し遂げることができるのか。改めて検討しなおし、出した結論はだんご事業の拡大でした。利益率が大きく確実に売上を伸ばすことのできるだんご事業にさらに注力することでアーバンの経営基盤をより強固にし、会社を発展させられると考えたのです。自分が去った後も従業員には豊かな生活を送り続けてほしい。その一心で経営判断をしました。もちろん、他の事業も継続的に発展させる予定です。
事業譲渡をしてから変わったことはありますか?
AJキャピタルの傘下に入ったことでの変化は、コンプライアンスや規律が一層厳格化されたことです。株式会社アーバンも常識的な経営をしていましたが、経営判断等を一層クリアな基準の元で下すことを求められるようになりました。
これまでも幹部や社員に意見を募ってはいましたが、やはり中小企業で社長に物申すことができる人材は少ないものです。そもそも毎回のように異議申し立てをすることは難しいでしょう。そのためこれまでは私は経営者としてほとんどの決断を一人でしなくてはなりませんでした。ときには筋が通らないはずのことも、通してしまったこともあります。
しかしAJキャピタルは明確な根拠を持って経営に口添えをしてくれます。論理的に、するべきでないことは「否」と反対意見を突きつけてもらえることはとてもありがたいです。
従来の私の考え方とは相反する内容もありますが、経営状況はよりよくなっていくはずです。
M&Aをする際、どのようなことを条件にしていましたか?
事業譲渡にあたり、要望のようなものは特に伝えませんでしたが、結果は期待以上のものになりました。M&Aをする以上、誰もができるだけ高い金額で条件の良い譲渡をしたいと願います。だからこそ、いちいち口にするのは憚られました。松本さんはそのような考えもしっかりと汲み取って最良の条件で譲渡相手を探してくれたと思います。
自社にどれだけの価値があり、いくらの値がつくのかは数字を見ればすぐにわかることです。結果として試算内容よりも良い条件で成約をさせてくれたことに大変感謝をしています。完全な形で納得のできるM&Aとなりました。
M&Aを終えて感じていることを教えてください。
名は体を表すという言葉の通り、M&Aを終えて、本当に「心がハレバレ」としました。松本さんはぐいぐい攻めた営業をするタイプではありませんが、柔らかな人当たりで最初にお会いしたときから「この人になら任せても安心だ」と感じさせてくれました。
結果を急ぐことも、自身の利益だけのために何かを誘導させようとする素振りもなく、じっくり向き合ってくれたことに感謝をしています。
M&Aを検討しているオーナーにハレバレをおすすめしたいと思いますか?
大いにおすすめしたいですね。松本さんのふるまいはとても紳士的で、お金にがめつい感じがないんですよ。譲渡して心からよかったと思えるようなM&Aに導いてくれました。納得できるM&Aをしたい方はぜひハレバレさんに連絡をされるといいと思います。