中小企業M&A相場を左右する評価の考え方と譲渡価格を高める実践的工夫
後継者不在や事業承継の選択肢としてM&Aを検討し始めたとき、多くの経営者が最初に気になるのが「自社はいくらで売却できるのか」という相場観です。しかし、中小企業のM&Aには明確な価格表が存在するわけではなく、企業ごとの個別事情によって譲渡価格は大きく変動します。
M&Aの相場を正しく理解することは、適切な交渉を進めるための第一歩です。相場の基本的な考え方を知らないまま交渉に臨むと、本来得られるはずの条件を逃してしまったり、逆に高すぎる希望価格を設定して買手が見つからないリスクがあります。
ここでは、中小企業M&Aにおける相場の基本的な考え方から実務で用いられる評価方法、そして譲渡価格を高めるために経営者ができる具体的な準備と工夫まで、実践的な視点で解説していきます。
中小企業M&A相場を理解して納得のいく事業承継を実現するために
中小企業のM&A相場は、時価純資産額に営業利益の数年分を加えた金額が一つの目安となりますが、実際の譲渡価格は企業が持つ無形資産の価値や買い手企業のニーズによって大きく変動します。相場の考え方を正しく理解し、適切な評価方法を用いることで、納得のいく条件での成約に近づけます。また、資料の整備や正確な情報開示、相場を意識した価格設定といった工夫を事前に行うことで、譲渡価格を高める可能性も広がります。
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M&Aにおける相場の基本的な考え方と中小企業特有の価格決定の仕組み
M&Aにおける「相場」とは、企業の売買価格を算定する際の目安となる金額のことを指します。ただし、不動産や中古車のように明確な市場価格が存在するわけではありません。中小企業のM&Aでは、それぞれの会社が持つ個別の事情や強み、将来性などによって価格が大きく変動するため、一律の相場を示すことは困難です。こうした中小企業M&A特有の価格決定の考え方を理解しておくことが、適切な交渉を進めるうえで必要です。
中小企業M&Aで用いられる基本的な計算式
それでも、交渉を始める際の目安として、中小企業のM&Aでは「時価純資産額+営業利益の2年分から5年分」という簡易的な計算式がよく用いられています。たとえば、時価純資産が2億円で年間営業利益が5,000万円の企業の場合、「2億円+5,000万円×3年分=3億5,000万円」といった形で概算できます。年倍法や年買法とも呼ばれるこの方法は、投資した金額を何年で回収できるかという経営者の思考に合致しているため、実務上広く普及しています。
相場はあくまで交渉のスタート地点
ただし、算出された金額はあくまで目安であり、実際の譲渡価格は売り手と買い手の交渉によって最終的に決定されます。企業が持つブランド力や技術力、従業員の質、取引先との関係性といった無形資産の評価は、買い手企業がどれだけその価値を必要としているかによって大きく変わります。同じ財務状況の企業であっても、買い手によって提示される価格は異なるのです。
企業価値を算定する際に用いられる3つの代表的な評価アプローチ
M&Aにおける企業価値の算定方法は、大きく分けて3つのアプローチに分類されます。それぞれのアプローチは異なる視点から企業の価値を評価するため、企業の規模や業種、財務状況に応じて適切な方法を選択することが大切です。
コストアプローチ(資産をベースにした評価)
企業が保有する資産に着目して価値を算定する方法です。代表的な手法として「簿価純資産法」と「時価純資産法」があります。簿価純資産法は帳簿上の純資産額をそのまま企業価値とする方法ですが、資産の含み益や含み損が反映されないため実務ではあまり用いられません。一方、時価純資産法は資産と負債を時価に換算して純資産を算出する方法で、中小企業のM&Aでは最も基本的な評価方法として広く採用されています。
インカムアプローチ(将来の収益をベースにした評価)
企業が将来生み出すと期待される利益やキャッシュ・フローに着目して価値を算定する方法です。代表的な手法に「DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)」がありますが、中小企業では将来予測の精度を担保することが難しいため、大企業や上場企業のM&Aで主に用いられています。
マーケットアプローチ(市場価格をベースにした評価)
類似する上場企業の株価や過去のM&A取引事例を参考にして価値を算定する方法です。中小企業の場合は類似する取引事例が少ないため、実務で適用されるケースは限定的です。
M&Aの譲渡価格を高めるために経営者が取り組むべき準備と実践的な工夫
M&Aにおいて少しでも高い譲渡価格を実現するためには、買い手企業に対して自社の魅力を正確に伝え、信頼関係を構築することが不可欠です。事前の準備と交渉時の工夫が欠かせません。
資料の整備と正確な情報開示
買い手企業から求められる資料の提出や情報開示は、迅速かつ正確に行うことが基本です。決算書や事業計画書、顧客リスト、契約書類などを事前に整理しておくことで、買い手企業からの信頼を得やすくなります。とくに中小企業の場合、節税対策として役員報酬を高めに設定していたり、経費として計上している項目があったりすることが一般的です。その際は、実質的な利益を説明できる資料を別途作成し、会社の本来の収益力を正しく理解してもらうことが必要です。
相場を意識した価格設定と交渉期間の確保
譲渡価格の設定は、相場を意識しながらも少し高めに設定することが、結果的に高値での成約につながる傾向があります。ただし、相場から大きく乖離した価格設定は、有力な買い手候補との出会いの機会を失う原因となりますので、専門家と相談しながら適切な価格帯を見極めることが欠かせません。また、高く売却するためには、複数の候補先との交渉や条件の調整に十分な時間をかける必要がありますので、余裕を持ったスケジュールで進めることをおすすめします。
【Q&A】中小企業M&A相場の考え方と評価方法についての解説
- 中小企業のM&Aにおける相場はどのように決まりますか?
- 中小企業のM&Aでは明確な市場価格は存在しません。一般的には「時価純資産額+営業利益の2年分から5年分」という計算式が目安です。たとえば、時価純資産が2億円で年間営業利益が5,000万円なら「2億円+5,000万円×3年分=3億5,000万円」と概算できます。ただし、実際の譲渡価格はブランド力や技術力といった無形資産の評価によって変動します。
- 企業価値を算定する際にはどのような評価方法がありますか?
- 企業価値の算定方法は大きく3つに分類されます。資産に着目する「コストアプローチ」は中小企業で広く採用されています。将来の利益に着目する「インカムアプローチ」は主に大企業で用いられます。類似企業を参考にする「マーケットアプローチ」で算定する買手が近年増加傾向です。
- M&Aの譲渡価格を高めるためにはどのような準備が必要ですか?
- 決算書や事業計画書を事前に整理し、迅速かつ正確に情報開示することが基本です。節税対策で役員報酬を高めに設定している場合は、実質的な利益を説明できる資料を作成することが必要です。また、相場より少し高めに価格設定し、十分な交渉期間を確保することをおすすめします。
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